警察庁における特定遊興飲食店営業の解釈


風営法改正案の特定遊興飲食店営業の解釈

下記は2015.9.18からの警察庁のパブリックコメントに添付された内容です。

特定遊興飲食店営業の定義の解釈案

1 総説

深夜は、その他の時間帯と比較すると、一般に、多くの人々が睡眠を取っているこ
とから人目も少なくなり、規範の逸脱に対する社会の制御機能が低下する時間帯と考
えられる。また、深夜は、日中の勤務時の緊張から解放され、長時間にわたって慰安
を求め続ける者が多くなる時間帯であり、こうした者が風俗上の規範を逸脱するおそ
れもある。このような時間帯である深夜に、飲酒をする客に対し、営業者側が積極的
に働き掛けて遊興をさせた場合には、遊興に伴う騒音、営業所の周辺での酔客の粗暴
・卑わいな行為、痴漢や売春といった性的な事案等を始めとする風俗上の問題が生じ
るおそれが高いと考えられる。このため、飲食店営業における深夜の遊興に対する規
制を緩和するに際し、深夜・遊興・飲酒という3要素の全てを満たす営業を特定遊興
飲食店営業とし、所要の規制を行うこととしている。

特定遊興飲食店営業とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、
客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前6時以後翌日
午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)
をいう(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(平
成27年法律第45号)による改正後の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法
律(以下「法」という。)第2条第11項)。
したがって、例えば、以下のものは特定遊興飲食店営業には該当しない。
○ 低照度飲食店営業に該当するもの
○ 深夜は営業しないもの
○ 深夜は酒類を提供しないもの
○ 深夜は客に遊興をさせないもの

2 「遊興をさせる」の意義

(1) 「遊興をさせる」とは、文字どおり遊び興じさせることであるが、特定遊興飲食
店営業として規制対象となるのは、営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じ
させる場合である。
客に遊興をさせるためのサービスとしては、主として、ショーや演奏の類を客に
見聴きさせる鑑賞型のサービスと、客に遊戯、ゲーム等を行わせる参加型のサービ
スが考えられる。

ア鑑賞型のサービスについては、ショー等を鑑賞するよう客に勧める行為、実演
者が客の反応に対応し得る状態で演奏・演技を行う行為等は、積極的な行為に当
たる。
これに対して、単にテレビの映像や録音された音楽を流すような場合は、積極
的な行為には当たらない。

イ参加型のサービスについては、遊戯等を行うよう客に勧める行為、遊戯等を盛
り上げるための言動や演出を行う行為等は、積極的な行為に当たる。
これに対して、客が自ら遊戯を希望した場合に限ってこれを行わせるとともに、
客の遊戯に対して営業者側が何らの反応も行わないような場合は、積極的な行為
には当たらない。

(2) 具体的には、例えば、次に掲げる行為が「客に遊興をさせる」ことに当たる。

① 不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる行為
② 不特定の客に歌手がその場で歌う歌、バンドの生演奏等を聴かせる行為
③ 客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特 定の客にダンスをさせる行為
④ のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為
⑤ カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し(※リクエスト)、不特定の客 の歌に合わせて照明の演出、合いの手等を行い、又は不特定の客の歌を褒めはや
す行為
⑥ バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応 援等に参加させる行為

※不特定なのか特定なのかに注意!特定の客に行えば接待となり風俗営業許可が必要となる。

(3) これに対して、例えば、次に掲げる行為で上記(2)の行為に該当しないものは、「
に遊興をさせる」ことには当たらない。
① いわゆるカラオケボックスで不特定の客にカラオケ装置を使用させる行為
② カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客が自分から歌うことを要望した場
合に、マイクや歌詞カードを手渡し、又はカラオケ装置を作動させる行為
③ ボーリングやビリヤードの設備を設けてこれを不特定の客に自由に使用させる
行為
④ バー等でスポーツ等の映像を単に不特定の客に見せる行為(客自身が応援等を
行う場合を含む。)

3 営業の意義

(1) 営業とは、財産上の利益を得る目的をもって、同種の行為を反復継続して行うこ
とを指す。営業としての継続性及び営利性がない場合は、深夜において人に遊興と
飲食をさせたとしても、特定遊興飲食店営業には該当しない。

(2) 例えば、次のようなものは一般には営利性がなく、営業には当たらない。
○ 日本に所在する外国の大使館が主催する社交パーティー
○ 結婚式の二次会として、新郎・新婦の友人が飲食店営業の営業所を借りて主催
する祝賀パーティー(飲食店営業の営業者が当該パーティーの主催者に対して営
業所を有償で貸す行為には営利性が認められる。営業者が、深夜に及ぶパーティ
ーのために営業所を有償で貸し、深夜において、酒類を提供するとともに、パー
ティーの余興に合わせて照明や音響の調整を行うという行為を反復継続しようと
する場合は、主催者は特定遊興飲食店営業の許可を受ける必要はないが、当該営
業者は当該許可を受ける必要がある。)

(3) 例えば、スポーツ等の映像を不特定の客に見せる深夜酒類提供飲食店営業のバー
等において、平素は客に遊興をさせていないものの、特に人々の関心の高い試合等
が行われるときに、反復継続の意思を持たずにたまさか短時間に限って深夜に客に
遊興をさせたような場合は、特定遊興飲食店営業としての継続性は認められない。

(4) 短期間の催しについては、2晩以上にわたって行われるものは、継続性が認めら
れる。これに対し、繰り返し開催される催し(1回につき1晩のみ開催されるもの
に限る。)については、法第8条第3号の規定の趣旨に鑑み、引き続き6月以上開
催されない場合は、継続性が認められず、営業には当たらない。
※2晩以上のフェスなどは注意。

4 「設備を設けて」の意義

(1) 「設備を設けて」とは、客に遊興と飲食をさせる営業を営むに足りると客観的に
認められる物的施設及び備品を設けていることを指す。

(2) 客に遊興をさせる設備がなく飲食をさせる設備のみがある客室甲室を設けている
飲食店営業と、客に飲食をさせる設備がなく遊興をさせる設備のみがある客室乙室
を設けている興行場営業が同一の施設内で営まれている場合、例えば次のいずれか
に該当するようなときは、これらの営業は一体のものと解され、一般には設備を設
けて客に遊興と飲食をさせていることになる。
① 甲室と乙室の料金を一括して営業者に支払うこととされている場合(食券付き
の入場券を販売する場合や、入場料を支払えば飲食物の一部又は全部が無料にな
る場合等を含む。)
② 客が甲室で飲食料金の精算をせずに乙室に移動できる場合
③ 客が乙室で遊興料金の精算をせずに甲室に移動できる場合
④ 乙室にテーブルがあり、客が甲室で提供を受けた飲食物を乙室に持ち込める場

⑤ 乙室にテーブルがあり、乙室にいる客に対して、甲室から飲食物を運搬して提
供する場合
⑥ 甲室にいる客が乙室でのショー、音楽等を鑑賞できる場合
(3) 上記(2)④に該当する場合であっても、例えば映画館、寄席、歌舞伎やクラシッ
ク音楽のための劇場等のように、専ら、興行を鑑賞させる目的で客から入場料を徴
収することにより営まれる興行場営業であって、興行の鑑賞のための席において客
の大半に常態として飲食をさせることを想定していないものについては、当該席が
設けられている客室は飲食店営業の営業所とはされていないことが一般的である。
その場合、客が席に飲食物を持ち込んで飲食をしたとしても、その席は、一般には
飲食をさせる設備には当たらない(なお、単に映画を見せる行為は、「遊興をさせ
ること」に当たらない。)。

(4) 例えば短期間の催しで、客にショー、音楽等を鑑賞させる場所と客に飲食をさせ
る場所を明確に区分しているような場合は、一般には、設備を設けて客に遊興と飲
食をさせていることには当たらない。

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